ブラジルの結婚式ってどんなかんじ?

ここ数日間、日本の結婚式やしきたりなどをポルトガル語で解説しましたが、
ブラジルに住んでいるorブラジル人に結婚式に招かれた日本人のために、
カルチャーショックを防げるかと思い、ブラジルスタイルの結婚式を解説したいと思います。


まず、初めに。

ブラジルの結婚式と言う者はトータルフリーダムです。
しきたりと言うか、元々、多文化を寄せ集めた国ですので、型にはまった者はありません。
インディオ同士なら色々セリモニーがあるようですが、たぶん日本人で招待される方はそうそういないでしょう。

結婚式のやりかたもさまざまですが、まず、招待されたらどうすればいのか。



1.招待状





企業同士の付き合い、御曹司の式ではない限り、招待状はすべて手渡しなどがマナーです。1ヶ月前までに渡すのがマナーですが、規模によっては口コミで招待されることもあります。

招待状には招待客の名前と「その家族」と書かれるのがマナーですが、筋金入りの披露宴で人数カウントされている場合、招待状に「○○さん」としか書いていない場合もあります。「その奥さん・旦那さん」と書いてある場合は夫婦で出席します。「その家族」と書いてある場合は家族全員、その世帯、という意味なので、子供もOKです。その場合も含めて、招待状を受け取ったら、まず、電話で参加・不参加、そして参加人数と祝福の言葉を、付き合いのある側に伝えるのがマナーです。

ただ、ブラジルの結婚式はキッズスペースなんて確保されませんので、じっとしていられない、風邪などを引いているのなら、ナニーさんに預けていくのがマナーです。気が引けるし、日本では母親が子供の面倒を見て、不参加と言う場合がありますが、どうしても預けられないのに、旦那さんだけ参加するのは噂の種になりますし、「子供の体調が悪いのにパーティーにくるなんて」って逆に怒られます。会社関係の場合はOK、その関係者のみ(男女問わず)でいいのですが、そうでないのならば夫婦揃って参加するのがマナーです。ブラジルでは熱の出ている子供を2時間くらいナニーに預けて式のみ参加でも許されています。

ブラジルでの結婚式では子供がかっわいい、チビスーツやひらひらのドレスを着てきゃっきゃ遊びまわるのは喜ばしい光景として見られます。日本で言う「披露宴の花」が子供ですので、着飾るべきなのは女性客ではなく子供達です。でも、子供用の食べ物やチャイルドチェアはない、と心に刻んでおいてください。



2. 招待客




500人から10人まで、規模は本当にさまざまです。日本とは違い、宗教問わず、ブラジルでは式と同時に披露宴に招待されることが多いです。とくに、プロテスタントの方は、披露宴会場の真ん中に場所を確保し、そこで、式を挙げる人もいます。

もちろん人にもよりますし、教会に入りきらない場合もあります。そのときは外でタムロしてもOK、会場の人(セリモニアル cerimonial)の指示に従ってもいいでしょう。

でも、招待状に式の場所も、披露宴の場所も書いてあったのに、披露宴だけに行くと、「食べ物目当て」と思われてしまうので、お気をつけください。

招待客はお金持ちなら、両家の仕事関係(取引先も含め)、親類、ご近所、友達、幼馴染、ちょっとお世話になった人などを呼び、具志堅さん並の壮大なパーティーを行います。

庶民は、親族、ご近所、友達、教会の知り合い、などでしょう。仕事関係の方は、よほどのアットホームな親戚ぐるみの会社ではないと呼びません。ですから、部下や上司の結婚式に呼ばれなかったと気にしないでください。もともと「ノミニケーション」=「パワハラ」と認められている国ですので、プライベートなことに仕事関係者を誘いません。



3. 服装


服装のTPOは、基本招待状に書いてある通りに従ってください。でも、書いてない場合は、男性はスーツ…なのですが、ブラジルではスーツを持っていない人が多く、日本のカジュアルなクールビスで結婚式に行く人もいます。ほとんどがネクタイをしません。ネクタイはほとんどの方がPadrinho (best man of honor)か、新郎しかつけていないときもあります。女性は、昼なら、カジュアルなカクテルドレス、夜はイブニングドレスです。

ここで気をつけたいのが、日本は「女性客は披露宴の花」として観られていますが、一般の招待客の服装は:新婦>madrinha(maid of honour)>新婦新郎の女性親族>一般招待客。

このカーストを配慮して欲しいものです。黒い服は絶対に駄目です。ブラジルでは結婚式にて黒い服装が許されるのはセレモニアルと言う、いわゆる、ナコード(ほぼ業者に頼む)のみです。だからと言って、白に近い色はNGです。日本のように盛大なヘアセットや、ハリウッド風の豪華メイクはmadrinhaを超えてしまうかもしれないので要注意。

招待してくれた方のお家柄と披露宴の式場の立地などを考えた上で、周りになじみやすそうな服装で行くのを心がけましょう(たとえば、脱げられるような服装、崩せるような髪形)



4. お祝儀








日本では金一封包むのが礼儀。
ブラジルでは日系人でも親族(目上の)でしか許されない行為です。

お金をくれる=寄付金を貰う。すなわち、「私達の事貧乏人だと思っているの?」、「プレゼントを選ぶ時間すら私達に使ってくれないのね」と言った悪印象を与えてしまいます。ブラジルでは、未だに結婚までは実家住まいが一般的で、結婚式の何日か前に新居を整えるので、お祝儀ではなく、嫁入り道具のようなものを与えます。大きな家具・家電をプレゼントするのが、親族、madrinha, padrinhoで、一般招待客は何もあげないことが一般的です。

ブラジルでは、結婚式は純粋に「式は神様に認めてもらうためにするもの」「披露宴はそのアフターパーティー」という認識で、盛大に祝おうという心得から、プレゼントなどは親族・家族や友達からしか期待されていません。とくに女性の場合はchá de panela/chá de cozinha/ despedida de solteira(アメリカのヘンズナイト)で、プレゼントを渡しているのなら、披露宴で渡す必要はありません。




このごろは、カップルで、chá de panelaを開催する人が多いと思いますが、ほとんどの方が、友人や仕事関係向けに開催していると思います。親戚や自分が目上の場合、chá de panela に招待されなくても、実家や新居にプレゼントを事前に持っていくのがマナーです。いまどきはどこかのお店に、プレゼントリストを置きカップルの結婚式用のテーブルなどを用意してもらい、その中から選ぶことも出来ます。

心配なら、一緒に招待されている友達などに聞いてみるか、新郎新婦に欲しいものリストなどあるのかを確認してもいいでしょう。

プレゼントも披露宴に持っていくか、自宅まで持っていくかは、招待してくれた側に一応聞いてください。



5.Padrinho/Madrinha ってなに?



ゴッドファーザーとゴッドマザーの意味です。カトリック教では乳児の洗礼式の際に、両親の代わりの保護者として、親戚や友達夫婦に頼み、後見者のような立場になります。それは昔、カトリック教会が役所代わりの時代のゆかりの習慣で、結婚式の場合でもゴッドファザー・マザーを頼みます。結婚式用のゴッドファザーたちは未婚でもよくて、マナー的にカップルで誘いますけど、相方を知らない・仲がそこまでよくない時は、奥さんだけ・旦那さんだけで誘っても非常識ではありません。

主な業務は日本のナコードや受付のようなもので、式や披露宴のプラニングを手伝ったり、招待状を配ったり、chá de panelaのプランを立てたり、当日の流れや着替え・メイクも付き添ったりします。

当日の式の流れで、新郎が入場した後、padrinho/madrihaがカップルごと入場。一組でもいいのですが、私は48人、24組のpadrinho/madrinhaがいた結婚式を見ていますので、エンドレスな時もあります。で、それからフラワーガール、新婦入場という流れになりますが、padrinho達は座っているか、式が終わるまでそばで立っているか・・・とにかく一番前の結構目立つポジションにいなくてはなりません。



6.式


ブラジルは1989年の新憲法まで、オフィシャル的にカトリック教でした。

ですから、多くの人が、カトリック教会で式を挙げます。そこでのマナーは日本と同じ。真ん中のレッドカーペットは踏まない。廊下側は新婦が一番よく見えるので激戦区。一番前から5列目ぐらいまでは家族・親族の座る位置です。ただ、日本やアメリカなどとは違い、新婦側、新郎側の招待客の区別がついていないので、自由に座って大丈夫です。

小さなお子様をお連れの場合、出口付近にいたほうがマナーです。

披露宴では演出などほぼありませんが、式での演出は本場カトリックなみにこだわります。

まずは、新婦と御父上がバージンロードをクラシックなどのBGMとともに歩き、それから、神父さんが式を始めます。プロテスタントのほうが長いのですが、式の進行は礼拝と同じようなものです。

席を立たなければいけないような状態の場合は壁側に座るなど、ドア付近にいるなどの配慮をしてください。

もし、子供が熱を出して預けている、はずせない用事があるのなら、式のみ参加でOKです。でも、式のみです。いくらブラジルでも、子供が熱を出して、ナニーに預けているのにパーティーに参加するのはいい印象を与えません。

また、招待されているのに、式に参加せず、披露宴だけに参加するのは子供や足の不自由な年配の方のみに許された事で、式に行かなかったのに、パーティーだけに来るのは、プレゼント強制ではない国柄、「タダ食いに来た」と言われてしまいます。



7. 披露宴




普通は、式を挙げた場所から離れている貸し切りサロンなどでするので、移動は各自自家用車で行くことになります。日本とは違いタクシー代など出しません。自分の足を確認しておいてください。

特に家族代々通い、家族代々そこで式を揚げている小さな教会ですと、披露宴用のサロンが結構な距離で離れている場合があります。

また、教会によっては自分の持ちのサロンが奥にあったり、プロテスタントの場合、サロンで式を挙げたりするので、移動はないのですが、事前に確認してください。

席を指定される場合もありますが、指定席は親族やpadrinho達のみで、他の招待客はどこでも座っていいはずです。席が足りなければナコードに言えば準備してくれると思います。



子供の頃の写真を流したり、両親に手紙を読んだり、演出はさまざまですが、演出なしの場合もあります。クラブのように踊りだしたりするときもあります。お色直しはありません。新婦の服装は必ず白です。

食事がコースと言うのは、正直、有名人の結婚式でも聞いたことはないです。

基本、料理はバイキングスタイルで、好きなものを好きなだけ並んでとってきます。



ケーキなどは席まで持ってきてもらえることが多いいです。

演出によりますが、ほとんどのケースが、招待客が新郎新婦の席まで行って挨拶をして、写真を撮ります。

日系人の結婚式の場合、ケーキの後に、新婦新郎やその両親が出口に回り、「lembrancinha」と言うささやかな引き出物を配ってくれます。普通のブラジルスタイルでしたら、引きで者はケーキやデザートなどと配られるか、出口に置いてあります。二次会などはなくて、披露宴は朝までパーティーが続くことがあるので、ケーキの後に霧のいいときに挨拶して帰ってもいいでしょう。



ブラジルでは結婚式は教会での式が命なので、披露宴自体ないこともあります。

あっても、ケーキのみという披露宴もあります。



8. 引き出物etc





ブラジルでの結婚式はいたってシンプルです。ですから、引き出物は、「bem casado」というクッキー一個を包んだものを貰います。このクッキーはほろほろしていて、べっとりなdoce de leiteかgoiabadaでくっついていて「離しても離れない」クッキーで縁起物です。

日本のように高いプレゼントやお祝儀を求めなければ、引き出物もそれ並みの物です。

お土産文化もないので、「お返し」などもなにもありません。

日本のように、結婚式に呼ばれたから呼ぶ義理もないし、その後のお付き合いも「お付き合い」そのままで、「物のやりとり」などはめったにしません。

ですからmadrinhaに選ばれて、夫と一緒に参例して、プレゼントもいいものあげたのに、お返しも、なにもないことに驚かないでください。きちんとした人はbest○honorには親友や親族を選びますし、子供の誕生日会、クリスマスやホームパーティなど日ごろの場面で「お返し」をしてくれます。



最後に




ブラジルでの結婚式スタイルはさまざまです。

でもほとんどが土曜日か日曜日の夜です。婚姻届は親族と一緒に役所で前日かその日の朝に、裁判官の前で行います。高いです。お金かかります。

プランナーさんに依頼する人は決まってお金持ちと言っていいでしょう。

ほとんどが、padrinho やmadrinha が新郎新婦と一緒にプランすることがあります。なので、式当日は両側のお母さんがどたばたしています。アソシエイトしているカントリークラブ、日本人会館、親戚の別荘で行う場合もあります。

アットホームで適当で、トラブルがたくさんあって(子供とかがケーキをつまみ食いするなど)でも、みんな心から「祝い」の気持ちを持って参加します。

ですから、招待されたら、あまり、服装やお祝儀やおもてなしなんて事は気にせず、ただ、祝福の気持ちでいらしてください。





注:お子様連れの場合、プールサイドは非常に危険なので、とっても気をつけてください!

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